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DAIMON STAFF

IPO資金調達額と会計基準

更新日:2021年7月18日

こんにちは


大門綜合会計事務所スタッフです。


毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。


65回目の今回はIPO資金調達額と会計基準

についてお伝えしたいと思います。



今週、以下のような記事がありました。


<日本のIPOシェア低下 調達額、アジアで5%未満>

日経電子版


要約すると・・・、


・アジアの新規株式公開(IPO)で日本市場

の存在感が低下している


・アジア全体の資金調達額におけるシェアは

5%未満と、2000年の3割強から大幅縮小


・未上場企業への資金供給や日本特有の公開

価格の決定プロセスが課題として浮かび上が

っている


・企業の新陳代謝を促すにもIPO市場活性化

は不可欠で政府も解決に向けて議論を始めた



というもの。



IPO(新規株式公開)は未上場の株式会社が

証券市場に上場することにより、一般の投資

家から広く資金調達をするものです。



そのため、上記記事のようにIPOでの資金調

達におけるシェア(金額)が縮小していると

いうことは、


日本の新規に株式を公開した会社が集められ

る資金が減少している、ということを意味し

ます。


最もシェアが大きいのは香港で4割、中国本

土が3割と続き、日本は韓国やインドよりも

下とのことです。


資金調達額が小さいと将来有望な企業がス

ムーズに資金調達が出来なくなり、結果とし

て国の損失となる可能性があります。


もちろん、日本に将来有望な企業が少ないか

ら資金調達額が小さい、という可能性もあり

ますが、


上記記事によると、資金調達額が小さい要因

としては以下の理由があるようです。


①IPO予備軍の育成につながる未上場企業へ

の投資規模の小ささ


②IPO公開価格が低くなりがちとも言われる

日本のIPOプロセス



①については、IPOをする前の育成段階の企

業に対して、VC(ベンチャーキャピタル)か

らの投資額が小さい、ということです。


すなわち、IPOをするような企業を育てるVC

からの投資自体がそもそも小さいため、


IPOをするような企業がうまく育っていない、

ということです。


記事においては、その理由として日本のVCが

国際標準の会計基準を採用するVCが少ないた

め、


海外の投資家が日本のVCに投資しづらい、と

いう要因を挙げています。


本ブログでも何度かお伝えしていますが、

日本の上場企業については、収益認識基準や

リース基準が


国際標準の会計基準(IFRSと考えて良いと思

います)とほぼ同等の基準となることから、


上場後の資金調達についてこのような問題は

解消して行くと考えられます。


しかし、上場しているVCはほとんどないため、

VCでも会計基準をIFRS等にすることにより、

資金を調達しやすくなると考えられます。



また、②については日本の市場においてはブ

ックビルディング方式という方式で、株式公

開前に株式公開価格が決定されます。


IPO企業にとっては公開価格が資金調達額と

なるのですが、公開後の初値は公開価格より

かなり高い価格になることが多く、


結果として資金調達額減少の要因となってい

ます。


(公開価格を初値に近い価格にしておけば、

IPO企業の資金調達額はより多額になってい

たということです。)




記事にもありますが、各国の取引所は国境を

超えた有力スタートアップの誘致に注力して

いるため、


日本もこれらの課題を急ぐ必要があると言え

ます。



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