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第202回の今回は、令和7年度税制改正のポイン
ト記事についてご紹介します。
税務通信 3834号 2025/1/13
以下、記事の内容を要約して簡単にお伝えします。
令和7年度税制改正の概要
令和7年度税制改正では、法人課税関係にお
いて大きな見直しが行われました。特に注目
されるのは以下の2点です。
1. 新リース会計基準を踏まえたリース税制の整備
2. 売上高100億円超を目指す中小企業向けの
経営強化税制の拡充
これらの改正は、企業の経営戦略や会計実務
に大きな影響を与える可能性があります。以下、
それぞれのポイントを簡単に解説いたします。
1. 新リース会計基準を踏まえたリース税制の整備
企業会計基準委員会(ASBJ)は、令和9年4月
1日以後開始する事業年度から適用される新
リース会計基準を公表しました。
この基準では、オペレーティング・リースとファイナン
ス・リースの区分が廃止され、全てのリース
契約が貸借対照表に計上されます。
しかし、法人税の取り扱いでは賃貸借処理が維持
されるため、次のような対応が求められます。
<オペレーティング・リースの処理>
会計上では、オペレーティング・リースも使
用権資産およびリース負債として計上されま
すが、税務上は以下が認められます
- 賃借料の「債務の確定した部分の金額」を
損金算入。
- 会計と税務の差異を調整するため、申告調
整が必要。
<ファイナンス・リースの変更点>
令和9年4月1日以後に締結された所有権移転
外リース取引における減価償却方法が改正さ
れました。
取得価額に残価保証額を含めた上
で、備忘価額(1円)まで償却可能となりま
す。既存契約についても令和7年4月以後の事
業年度から新基準に基づく償却が可能です。
<貸手(賃貸人)の対応>
新基準により、「リース料受取時に売上高と
売上原価を計上する方法」が廃止され、法人
税においても延払基準の方法による収益の額
及び費用の額の計算が認められなくなります。
また、経過措置により、令和9年3月31日以前
に開始する事業年度では従来の方法も認められ
る場合があります。
2. 中小企業経営強化税制の拡充
売上高100億円超を目指す中小企業への支援
を目的に、経営強化税制が見直されました。
特に「収益力強化設備(B類型)」に関する
要件の変更がポイントです。
<主な改正内容>
- 設備投資要件の強化:対象となる設備の年
平均投資利益率を5%から7%に引き上げ。
- 対象企業の条件:売上高が10億円超90億円
未満であること、また売上高100億円超を目
指すための事業基盤が整備されていること。
- 具体的設備基準:機械装置(160万円以
上)、建物附属設備(1000万円以上)など、
規模と金額に応じた条件が詳細に定められて
います。
特別償却と税額控除
経営強化設備に対する税制優遇措置として、
次の選択肢が用意されています:
- 特別償却(即時償却)
- 税額控除(取得価額の7?10%)
給与増加割合によって、控除率がさらに優遇
される仕組みも導入されています。
まとめ
令和7年度税制改正では、リース税制の整備
と中小企業向け税制の拡充が大きなテーマと
なっています。
新リース会計基準への対応や、売上高100億
円超を目指す企業向けの税制優遇は、事業拡
大を目指す企業にとって大きな追い風となるでしょう。
ただし、これらの改正は会計処理や申告調整に
時間と手間がかかるため、適切な準備が不可欠と
言えるでしょう。
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過
ごしください。
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