こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
46回目の今回は、前回お伝えした会計監査を
受けている上場会社と受けていない非上場会
社との、
会計監査の視点からの相違について、簡単に
お伝えしていこうと思います。
前回もお伝えしましたが、日本会計士協会の
Webサイトに以下のような案内が公表されま
した。
<株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック「会計監査を受ける前に準備しておきたいポイント」公表のご案内>
こちらはシンプルなものですが、IPOでは避
けて通れない、会計監査を受けるにあたって
の必須事項が簡潔にまとめられています。
前回、この中にある「会計監査を受けようと
したときの事前準備のポイントと例示」をご
紹介しました。(ガイドブックの9ページ以
降)
当該例示を抜粋すると以下のような内容です。
1 会計データ・裏付け証憑の整理
2 発生主義会計及び収益認識会計基準への
対応
3 棚卸資産管理
4 原価計算体制
5 資産・負債の管理
6 連結決算
7 関連当事者取引の把握・整理
8 内部管理体制の構築
9 労務管理
10 情報システムの内部統制
11 不正への対応
12 会計上の見積り
13 会計基準の選択
初めて会計監査を受ける際に、ありがちな指
摘が例示されていますが、今回はこの中の3
番目の棚卸資産管理についてお伝えします。
当該指摘事例の3番目は以下のような内容が
あります。
03 棚卸資産管理
・「在庫の実地棚卸をやっていない。」、又
は「実地棚卸はやっているが、精度は十分で
はない。」ということはありませんか。
・「実地棚卸をやっているので、在庫の受払
記録は作成していない。」ということはあり
ませんか。
皆さんの会社はいかがでしょうか?
在庫の実地棚卸をやっていない会社さんはそ
こまで多くは無いと思いますが、精度が十分
ではない会社さんや、
在庫の受払記録を作成していない会社さんは
多いかと思います。
例えば、「昨日の在庫数が正確に把握できて
いますか?」と聞かれて答えられる会社さん
は多くないと思います。
毎日のリアルタイムの在庫数が把握できるよ
うにするためには、受払記録簿をつける必要
があります。
受払記録簿とは、商品を仕入れたと同時に仕
入た数量を記録し、払い出したと同時に払い
出し数量を記録する帳簿です。
しかし、大量に仕入・払い出しを行う会社さ
んにはこの作業はかなり煩雑です。
・「月末に実地棚卸をしているから大丈夫」
・「毎日の実数がわからなくても、定期的に
棚卸をしていれば問題がないのでは?」
と思われる方もいらっしゃるかと思います。
これについて、監査をする視点からお話する
と、
「それだと、横領や盗難があった場合に、把
握できますか?」
という指摘をせざるを得ません。
というのも、売上原価の計算する場合には、
売上原価=期首在庫+仕入額-期末在庫
という式で計算されますが、受払記録簿をつ
けていない場合に、商品の横領や盗難があっ
た場合には、
上記式の期末在庫の数が実際の払出額よりも
少なくなることになります。
その場合、横領や盗難された金額は売上原価
に含まれることになりますが、
本当に払出されたのか、横領や盗難があった
のか、がわからなくなってしまいます。
また、実地棚卸で不正を行い、期末在庫の数
量を水増しするなどした場合には、売上原価
の額を小さくすることが出来、
結果として営業利益を大きくするという会計
操作も可能となってしまいます。
このように、横領や会計操作などの不正の温
床になり得ることから、IPO準備における会
計監査では、
棚卸資産管理について、重点的に確認し、基
本的には受払記録簿の作成の強い推奨や、実
地棚卸への監査人の立会を行い、
棚卸資産、ひいては売上原価が適切に計上さ
れていることを確認することになるのです。
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