こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連の基礎・Tips等をお伝えしています。
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第197回の今回は、新リース会計基準と税制
についてご紹介します。
リース取引は、多くの企業にとって重要な資
金調達手段であり、その会計処理は財務諸表
に大きな影響を与えます。近年、国際的な会
計基準の統一化を目指し、リース会計基準の
見直しが進められてきました。日本において
も、新たなリース会計基準が導入され、企業
はこれに対応する必要があります。
リース事業協会は、ウェブサイト上に「新
リース会計基準・税制」のページを作成し、
ユーザー向けに「新リース会計基準について
-借手側の会計処理-」という資料を掲載し
ています。
この資料では、新基準における借手側の会計
処理について詳しく解説されています。
新リース会計基準の主な変更点は、これまで
オフバランス処理が認められていたオペレー
ティング・リースも含め、原則として全ての
リース取引をオンバランス化する点です。こ
れにより、リース資産とリース負債を貸借対
照表に計上し、リース期間にわたって減価償
却費と利息費用を認識することが求められま
す。
具体的な例として、企業が5年間のリース契
約で設備を借り入れる場合、従来の基準では
リース料を期間費用として処理していました。
しかし、新基準では、リース開始日にリース
資産とリース負債を計上し、資産は減価償却、
負債は利息計算を行います。これにより、初
年度の費用計上額が増加し、以降は減少して
いくという費用配分の変化が生じます。
この変更に伴い、企業は以下の対応が求めら
れます。
1. リース契約の洗い出し: 全てのリース契
約を再確認し、オンバランス化の対象となる
取引を特定する。
2. システム対応: 新基準に対応した会計シ
ステムの導入や既存システムの改修を検討す
る。
3. 社内教育: 財務・経理部門を中心に、新
基準に関する研修を実施し、適切な対応を促
進する。
4. 財務戦略の見直し: オンバランス化によ
り、自己資本比率や各種財務指標に影響が出
るため、資本構成や資金調達戦略の再検討が
必要となる。
さらに、税務面でも注意が必要です。リース
取引の会計処理が変更されることで、税務上
の取り扱いにも影響を及ぼす可能性がありま
す。リース事業協会の資料では、税制に関す
る解説も含まれているため、税務担当者も含
めた社内での情報共有が重要です。
新リース会計基準への対応は、企業の財務報
告に透明性と比較可能性をもたらす一方、初
期対応には労力を要します。適切な準備と対
応を行うことで、スムーズな移行を目指す必
要があります。
それでは、今日はこの辺で。
良い週末をお過ごしください。
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