こんにちは
大門綜合スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
47回目の今回も、前回お伝えした会計監査を
受けている上場会社と受けていない非上場会
社との、
会計監査の視点からの相違について、簡単に
お伝えしていこうと思います。
前回までもお伝えしていますが、日本会計士
協会のWebサイトに以下のような案内が公表
されました。
<株式新規上場(IPO)のための事前準備ガイドブック「会計監査を受ける前に準備しておきたいポイント」公表のご案内>
こちらはシンプルなものですが、IPOでは避
けて通れない、会計監査を受けるにあたって
の必須事項が簡潔にまとめられています。
この中にある「会計監査を受けようとしたと
きの事前準備のポイントと例示」には以下の
ような内容があるという点をお伝えしました
(ガイドブックの9ページ以降)。
1 会計データ・裏付け証憑の整理
2 発生主義会計及び収益認識会計基準への対応
3 棚卸資産管理
4 原価計算体制
5 資産・負債の管理
6 連結決算
7 関連当事者取引の把握・整理
8 内部管理体制の構築
9 労務管理
10 情報システムの内部統制
11 不正への対応
12 会計上の見積り
13 会計基準の選択
今回はこの中の5番目の資産・負債の管理に
ついてお伝えします。
当該指摘事例の5番目には以下のような内容
があります。
『「固定資産台帳には載っているが、現物に
管理番号は付していないし、現物の置き場所
も頻繁に変更しているので、
台帳上の資産がどこにあるのか、そもそもあ
るのかないのかが分からない。」ということ
はありませんか。』
というもの。
固定資産を購入した際には、固定資産台帳に
登録したものの、
登録に当たっての設置場所の登録、固定資産
番号の付与があいまいであったり、
購入後に設置場所を移動させるケースが生じ
るということもよくあるかと思います。
また、移動に当たっての社内的な申請手続が
無い会社さんや、資産の管理責任者も明確に
定めていな会社さんもあるかと思います。
さらに、固定資産の実査を定期的に行ってい
ない会社さんも、非上場の場合には多く見受
けられます。
そのような場合には、固定資産台帳には載っ
ているが、実物がどこにあるか不明となって
いたり、
実は廃棄しているにも関わらず、固定資産台
帳に載り続け、償却計算をし続けているとい
う場合もあり得るのです。
このようなミスは以下のような手続で防ぐこ
とが出来ます。
・定期的な固定資産の実査
・各固定資産に資産管理番号の貼付
・固定資産のロケーション管理
・固定資産管理者の設置
私が過去に監査でお邪魔した、とある病院に
おいても、固定資産実査を行っていませんでし
た。
初めて監査でお邪魔した年に、固定資産が本
当に実在するかを確認するために、
固定資産台帳に載っている資産を何件かサン
プルで確認させて頂きました。
その際に、固定資産台帳に載っている救急車
が、実は廃棄されていたことが判明し、
ありもしない救急車が、減価償却され続けて
いたということがありました。
他にも、固定資産ではありませんでしたが、
車いすが患者さんに持ち帰られるなどしたた
め、
購入数量よりも実在数量が大幅に減っている
ケースもありました。
もし、定期的に実査を行っていれば、上記の
ような事象にいちはやく気づくことができ、
それなりの対策をすることも可能だったはず
です。
前回お伝えした棚卸資産にも共通しますが、
「今現在、資産をいくつ保有しているのか」
を正確に把握・管理することが、会計監査に
耐えうる会社の管理体制の整備につながり、
ひいては、資産の紛失や無駄な投資を防ぐこ
とになるのです。
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