こんにちは
大門綜合会計事務所スタッフです。
毎週金曜日、会計・財務、税務、監査、内部統制関連のTips等をお伝えしています。
55回目の今回は、郵便局での不祥事について
の記事がありましたのでご紹介したいと思い
ます。
<郵便局員「お金の犯罪多発」の何とも呆れる実態>
2021/02/08 東洋経済
要約すると・・・、
・「かんぽ生命保険」や「ゆうちょ銀行」の
不祥事ばかりが注目されるが、実は郵便局で
の不祥事もある
・横領や窃取といった単純で発覚しやすい犯
罪で局長や部長など不正を防止する立場にあ
る管理職の犯罪も少なくない
・大阪堺中郵便局の元総務部長(56)が昨年
12月、大阪府警に逮捕された。
料金別納郵便の支払金として顧客から受け入
れた郵便切手1億3300万円を裁断処分したか
のように装って横領し金券ショップ換金
・同月には長野県・佐久郵便局の窓口営業部
長(45)も逮捕されている
午前2時40分頃に同局へ侵入し、金庫に保管
中の現金7000万円を窃取した容疑
・同年5月には福岡県・早良南郵便局の渉外
担当の期間雇用社員(68)が同年3月に逮捕
されていた
2017年12月~2019年10月までの間に顧客から
受領した貯金預入金のうち計9260万円を、受
け入れ処理せずに横領した容疑
・日本郵便では昨年1年間で計3.7億円、計21
件の横領・窃取などの不正が起きている。
・うち2件が郵便局長、3件が部長による犯罪
容疑
というもの。
昨年一年での不正額が3.7億円、一昨年には3
年間に渡って5.4億円の着服がなされていた
ことが発覚しています。
記事中にもありますが、個人的にも毎年の額
の多さや、件数の多さにはなかなか衝撃的な
面があります。
当該不正を以前お伝えした不正のトライアン
グルで分析すると以下の3要素のうち①~②
点が主たる原因であると考えられます。
①機会
②姿勢・正当化
③動機
①については、東証1部上場会社である日本
郵政の子会社であるにも関わらず、内部統制
に欠陥があったとしか言いようがありません。
日本郵便における不正の実施者は局長、部長、
等の管理の立場にある人間が多いのですが、
支局が非常に多い日本郵便においては、局の
トップである局長の実務を監視する体制は整
っていなかった可能性が高いと考えられます。
また、②の姿勢・正当化についてはその組織
の風土が大きく影響します。
記事にもありますが、郵政民営化前は国家公
務員であったため、
身内の不始末は組織ぐるみで隠蔽するような
役所体質・風土が根強く残っている可能性も
高いと考えられます。
上記①~②という不正が起こり得る環境が整
っている状況で、③の動機が発生すれば、不
正が発生する可能性は一段と高くなります。
少し想像してみてください。
①発覚する可能性が非常に低い状況があ
り・・・機会
②同じ組織で同様の不正をやっている人が他
にもいることがわかっている状況で・・・姿
勢/正当化
③例えば、親や子供等の自分の大切な人が高
額な手術をしないと亡くなってしまうような
状況が発生したら・・・動機
①機会と②姿勢/正当化という不正要因を低
減させる重要性がわかって頂けたと思います。
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